今、「お店の名前は?」と聞かれると「洋菓子店 ラ・パニエです。」と答えるようにしているのですが、店を始めた頃はただ「ラ・パニエです。」と答えていました。洋菓子店とあえて言うようになったのはここ数年のことなのですが、自分なりのこだわりがあるのです。
昔から、「フランス菓子 OOO」という看板はよく見かけました。
そのころは、別に何も考えていなくて、「そうか。フランス菓子のお店か・・」と思っただけで、店に入って見ると、「どこがフランス菓子なのかなーー??」と思いながら買っていました。と言うのもショートケーキがあったり、チョコレートケーキをザッハトルテと書いてあったり、別にそれをとがめるつもりは全くないし、深く考える事はないですから、日本ではそういうのは別の所でもよく見かけますから、
でも、最近やたらフランス、フランスと前面に出して、あたかもフランス菓子が最高のお菓子だと言わんばかりのお店があるのが職人根性としては鼻について、別にフランス人が買いに来るわけでもないのに、そんなにフランスが良いのなら、フランスに行って店をやればいいのに・・と思ってしまいます。自分のモットーは「日本人が日本で日本人のために作る洋菓子。」
と思って作っています。
確かに、大先輩たちが、行くのも大変なときに、フランスに行って手本にして、技術を習得して、一生懸命、日本に洋菓子という物を広めてくださった
。その時、「フランス、フランス」というのは解りますが、今の時代、ある意味では、すでにフランス菓子以上の技術と知識を日本の洋菓子職人さんたちは持っています。日本の中で独自の進化をとげたと言っても良いような気がします。日本人の繊細さと器用さがヨーロッパのお菓子をしのいでいると思っています。
自分が作っているお菓子が、どなたが見ても洋菓子だから、「洋菓子店」と付けているわけで、最近は和菓子屋さんだって生クリームやバターを使うし、洋菓子屋だってアンコを使う時代です。
自分も先日ご紹介した水まんじゅうの生地を使うし、アンコも使うし、蕨餅も使います。要するに、お菓子なんて「たかが菓子。」美味しければなんだって良いじゃないか。と思うんです。そこであえて、「フランス菓子」とが「ドイツ菓子」とか言わなくても、世界中の美味しいと思うお菓子を、職人が自分の経験とセンスで自分なりのお菓子にして、お店に並べて、お客さんが「このお菓子美味しいね。」と言ってくださったら、“ガッツポーズ”です。